張家口での緑化協力

GENは2016年度から張家口市蔚県で緑化協力のための調査をはじめ、2017年度より本格的に協力をはじめました。

河北省張家口市蔚県基礎データ

張家口での緑化協力の地図

【面積】3,220平方km
【人口】52万人
【位置】北緯39°50'、東経114°35'付近
【気候】年平均気温6.4℃、年間降水量400mm
【地形】北部は標高1000~1500mの黄土丘陵。
中央部は東西に細長い標高900m前後の盆地。
南部は太行山脈、恒山山脈、燕山山脈が交差する標高1500~2000mの山地で、河北省最高峰の小五台山(2882m)を擁する。

自然条件

降水量が少なく、最低気温は-10℃以下、最高気温は30℃以上と、気温差が大きいため、生育する植物は限られます。
また、このあたりの土壌、「黄土」は粒子が細かく乾くとがちがちに固まり、水が入るととろりと溶けて流れてしまう、やっかいな土です。
植物は根でも呼吸をしていて土中の通気性が必要ですが、黄土を踏み固めて植えると空気が通わず窒息して枯れてしまいます。
木を植えるとき固く踏み固めない、砂や炭などを一握りいれて通気性を確保する、など工夫して植えました。
また、少ない雨は夏の3か月間に集中します。
時間雨量が70ミリといった集中豪雨が珍しくなく、そうした雨が緑被の少ない地面をたたき、表土を押し流します。
せっかく肥料をいれた畑の表土を流されて畑の収穫量が落ちるので、それを補うためにさらに段々畑を切り開く、その悪循環を断つことは困難です。
水と土が流され失われる、「水土流失」がこの地域の砂漠化を推し進めたのです。

段々畑と浸食谷の写真 段々畑と浸食谷

歴史

蔚県の歴史は古く、旧石器時代の遺跡が発掘されています。
春秋戦国時代は代国の都があり、その後王朝が変わっても商都として地域の要の位置にありました。
近代になって築かれた鉄道からはずれたことが衰退を招き、「かつての栄華がフリーズドライで保存された」と歴史家は言います。
1953年までは山西省の広霊県に属していて、いまでも往来は盛んです。
剪紙(切り絵)、打樹花など独特の伝統文化を大切にし、明清代の建築を残した古堡が点在する、風情あるところです。

古い街並みが残る西古堡の写真 古い街並みが残る西古堡
迫力の“打樹花の写真 迫力の“打樹花”
剪紙の着色作業の写真 剪紙の着色作業
飛狐峪の絶景の写真 飛狐峪の絶景

新しい協力のかたち

大同ではプロジェクト費はすべて日本から提供していましたが、中国が経済発展をとげたいま、蔚県では現地負担のほうが大きいぐらいになっています。
日本から提供するのは主に苗木代や植樹のための労賃で、大規模整地や道路建設、管理費用などはほぼ現地負担です。対等な協力関係を築いています。

村での植林プロジェクト

アブラマツ、ヤナギ、アンズなど植える木の種類は多様です。マツ苗は、5~6年生から、大きなものでは8年生ぐらいの人の背丈に近いようなサイズのものを植えています。
実際に作業にあたるのは、中国の精力的な人工造林をささえる公司(企業体)です。ノウハウを積み重ね、技術も確かで安心してまかせられます。
地元のボランティアも参加します。農村の教育支援、高齢者福祉、そして植樹など、各方面で活躍しています。

マツ苗リレーの写真 マツ苗リレー
マツ苗を植えるの写真 マツ苗を植える

蔚県郷土樹木園

蔚県中央部を西から東北に流れる壺流河の両岸に湿地帯が存在します。土砂の採掘や、放牧に使用されているところもありますが、大半は放置されています。
その一部が壺流河国家湿地公園として整備されることを知り、その一画で地元の湿地、平地、山地の植物を集めて見本園を作ることを提案し、「蔚県郷土樹木園」と名付けて、現地の担当部署と協力して植樹・建設を進めています。
さらに、この湿地とダム湖が渡り鳥の休憩場所になっていることから、野鳥保護の活動も動き出しました。
地元には野鳥のデータがなく、日本から専門家を派遣して調査をすすめています。

壺流河国家湿地公園の写真 壺流河国家湿地公園
アカツクシガモの写真 アカツクシガモ
湿地公園の案内板の写真 湿地公園の案内板
ヘラサギの写真 ヘラサギ

カウンターパート

中国国際青年交流センター(2016~2020)
北京林学会(2021~)
共青団蔚県委員会(2016~)

 
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