梅小路公園 米作りの物語 by 稲垣文拓(GEN監査)

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JR京都駅の西側に、ご存知、梅小路公園があります。この公園は、旧国鉄引き込み線跡地を市民の憩いの場として再開発されました。ここには、芝生多目的広場、野外ステージ、日本庭園朱雀の庭などがあります。隣接するは、京都水族館と鉄道博物館です。市民だけでなく、海外からもたくさんの人が訪れる場所になっています。その一角に、自然再生を目指した「命の森」があります。すでに30年、その森の中に、これまた小さな田んぼがあるのです。この田んぼにかかわって10年ほどになります。

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この梅小路公園で、京都市緑化協会主催の子供自然観察会を毎年開催しています。この活動は、「命の森」の中にいる生き物と子供たちが直接触れ合う体験がねらいとなっています。そのなかで、水辺のビオトープだった池があります。そこを田んぼにして、水辺の生き物とのかかわりを知る、稲づくりをしています。その稲づくりの講師として私が関わって、10年ほどたちました。食いしん坊が関わると、どうも食い気の話で盛り上がります。生き物を見るだけでは済まされません。命は食べ物であるということを実体験してもらいます。ですので、子供たち自ら田植えをし、草をとり、稲を刈って、コメを収穫、脱穀、それを口に入るまでの工程を教えるのが私の役割になりました。
 
この子供自然観察会が以外と人気なんですよ。コロナ禍の影響で、人数と時間の制約がきつくなりましたが、毎年、募集人数の数倍は希望があります。田んぼに入る子は、最初、裸足になることや泥が体につくのを嫌がります。しかし、しばらく経つと泥だらけに慣れ、嬉々として自ら進んで泥に突っ込みます。ザリガニなんかを見つけた時には、稲のことなんかほったらかしで、時間も忘れて遊んでいるのですけどね。
 
知ってもらいたいのは、お米が稲という植物で生き物だということ。お米を食べるのは人間だけじゃないこと。そして、自分で作ったものを食べることで、子供たちの記憶に残ればいいなと思っています。

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さて、命の森の稲について説明します。もともと農協から苗を買って田植えをしていました。ですが、ある時思ったのです。
 
ここで育ったコメを種モミにして代々命をつなげていけないか?
 
そう思ったきっかけは、コメ作りにも慣行的に行われている農薬、化学肥料の使用を避けたいということです。せっかくいろんな命をはぐくむ場所として田んぼが存在するのに、農薬や化学肥料で殺してしまうようなことがあってはならないと思ったのです。
 
農薬の使用の現状はみなさんご存じでしょうか?
 
米作りには、虫の防除、病気の予防、雑草の除去に毒性の含まれる薬剤がたくさん使用されています。疑って違わず、種もみも買ったらすでに薬剤消毒済です。植える苗さえ、殺菌効果のある薬剤を育成に使用しています。それをシャットアウト。そうすると、いろんな生き物が集う田になります。このサイクルを始めて8年たちました。この命をつなげていくということも、子供たちに知ってほしいことの一つです。

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苗づくりから携わりながら、驚きと気づきがいっぱいあるんですよ。低温出芽力、生育、耐病性、元の品種の性質と全然違うのです。おそらくもともとあった米の潜在能力なのでしょう。それが、何代も無農薬で稲の栽培をつなげていく間に、稲の性質が変化してきているようなのです。ですので、毎年、籾の保存、苗づくり、田んぼの管理はもとより、田植えから稲刈りまで、農薬は一切入れずに、健やかに育つ稲とそこにかかわる生き物を観察することができます。
 
この元気印のついた稲から、毎年0~数キロ収穫できます。その年の天候や管理の具合によって、コメ粒の大きさや出来具合はかなり差があります。参加する子供たちは、田んぼを利用する生き物たち、泥の中に潜むもの、稲の茎葉を噛み、穂をついばむ生き物がたくさんいることを知ります。そして、生き物同士のつながりの中で、ヒトの取分があることを知ります。なので、鳥に食べられてしまい、全く、ヒトの口に入るコメが取れない年もありました。
 
さて、世界に一つしかない、梅小路米。地価と資材と労力で計算される金銭的価値以外に、人の心に残る価値はいかほどになりますでしょうか? 世界一高級なコメ? 毎年子供観察会の最終回に、その年命の森で取れたお米をみんなでおにぎりにして食べております。なんて贅沢なことでしょう。

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 細々と次代をつなげていく梅小路米のストーリーは、これからも子供たちとともに続きます。
 
梅小路公園命の森 

いのちの森 | 梅小路公園 | 京都市都市緑化協会京都市にある梅小路公園についてのご紹介。園内マップや梅小路の歴史、ご利用案内や使用申請書のダウンロードなども。公園内には、www.kyoto-ga.jp

 

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