インターン生によるインタビュー、「私の環境研究ことはじめ」。第12回は緑の地球ネットワーク(GEN)代表の前中久行さんにお話を伺いました。前中代表はこれまで名城大学や大阪府立大学(当時)などで造園学を専門に研究を続けてこられました。2011年からGEN代表を務めておられます。GENのnoteでは、前中代表執筆の「植物についての雑エッセイ」を読むことができます。
今回は、前中代表のご専門である造園学を中心に、緑化を行う上で重要な考え方についてお話を伺いました。
技術の進歩で変化した植樹
-今と昔で植樹の仕方にはどのような違いがあるのでしょうか
昔は常識とされていたことは、基本的に今も変わりません。ただ、色々な機械や技術が発達し、昔は難しいと言われていたことが簡単にできるようになりました。大昔は植樹をするにあたって重い樹木を運ぶことが難しかったため、樹木の幹に大八車のような車を括りつけてから樹木を掘り起こして運び出す車掛けという方法が使われていたと古い造園書に載っていました。しかし現在はどんなに大きなものでも簡単に運び出せますよね。
また、樹木を移植する際は、根をできるだけ多く残す方が良いのですが、根についた土が重く、運搬が大変でした。根の周りの土がついた部分を鉢といい、昔は運びやすくするために樹木が枯れない範囲でこれを小さくする必要がありました。その目安として、幹の直径の約3倍の大きさを残して掘るという基準がありましたが、現在は運搬技術が発達し、重さをあまり気にする必要がなくなったため、昔より大きな鉢のままでも運べるようになっています。
-鉢が大きいほど、樹木は大きく育つのですか
活着率は高いですが、限度があります。1cmの太さの樹木に直径1mの鉢を付けても意味がないですよね。だから基準として、鉢の大きさは幹の太さの3倍ということになっていました。現在は特別大きな樹木以外は苗の養生をビニールポットで行うため、畑に植わっているものを直接掘り出して植えることはあまりありません。ビニールポットになったおかげで、植物を移植する時期は自由になりました。
-昔と比べて、植える技術も発達したのでしょうか
植える技術というよりは、昔より安全な苗を作れるようになり、苗の活着率も上がったので、植えること自体は一般的な作業員でもできるようになりました。しかし本来、公園や庭をつくる目的は樹木を育てることではなく、樹木を植えた結果として出来上がった環境が良くなることにあります。このため樹木の植栽配置計画やその後の剪定管理の技量によって、植えた樹木が大きくなった時の環境や景観に差が出ます。専門家の腕の見せ所です。
公園はどのようにつくられるのか
-前中代表は造園学がご専門であり、以前は造園のお仕事をされていたと伺いました。公園づくりで面白かったことは何でしたか。
公園づくりは、構想から基本計画、設計、施工、管理まで5つの段階に分業されています。以前私が勤めていたころは全部を造園担当の職員が行っていたので、もちろん私も全部経験してきましたが、どの段階もそれなりに面白く大変でした。新しい公園を作るとなると、まずどのような公園を作るかを決める必要があります。公園は総合公園、地区公園、近隣公園など大きさや用途、対象範囲の広さによって種類分けされており、それぞれの公園の地形の特質や性格付けに応じて遊具や施設を配置することで住民のニーズを満たせるように計画します。
-公園には種類があるのですね
公園は、主に都市公園と自然公園に分けられます。都市公園とは、一つの土地を確保してそこに作られた公園のことです。道路や住宅地を作るのとかと同じようにものを作るという行為によって出来上がった公園のことを営造物公園といいます。総合公園、地区公園、近隣公園もこれにあたりますね。自然公園とは、国立公園や国定公園のように、私有地であれば個人が土地を所有したまま、そこに利用の制限をかけて誰もが利用できるようにした公園のことです。このような公園のことを地域制公園といいます。
近隣公園や地区公園、総合公園などは主に地方自治体によって整備されていますが、国営公園は国、主に国土交通省によって整備されています。また、今年世界遺産に登録された飛鳥地域では、遺跡とその周辺が保存・利活用のために整備されており、国営飛鳥歴史公園という国営の史跡公園になっています。

-都市計画では、住民の反対が多いことで計画が白紙になることがありますが、国営公園や史跡公園への指定に関して住民の反対が多く白紙になった計画はあるのですか。
それはあまり聞いたことがありませんし、基本的には公園になることに反対する人は少ないと思います。もちろん、その土地が公園以外のものになることで価値が上がるという理由や、公園になる土地のすぐ隣に住んでいて迷惑がかかるという理由で反対する人はいますが、全体的にみると反対派は少数ですね。そしてすっきり賛成、反対と意見が分かれることは少なく、そこには様々な価値観が交錯します。そんなとき行政は都市計画でも利用されますが、パブリックコメントを実施して計画に対する住民の意見を聞くんです。そのパブリックコメントや議員などの意見を参考にして、最終的には地方自治体の長が計画実行の可否を決定しますね。
パブリックコメントでは反対という意見はあまりありませんが、自分が思うような施設・設備が欲しいという要望は多く届きます。一つの公園計画で全ての要望に応えられるわけではないので、その地域の公園全体で住民の要望をカバーしていくような配置になります。







