“も”の発見がコウノトリの保全に繋がった!? by 小倉亜紗美(GEN世話人、呉工業高等専門学校准教授)

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 兵庫県豊岡市では、「コウノトリ“も” 育む農法」を行っています。この“も”の発見と、ジェンダーギャップの解消の取組みが、現在の世界に注目される都市へと繋がったそうです。
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呉工業高等専門学校の小倉亜紗美です。
コウノトリの野生復帰を世界で初めて実現させた兵庫県豊岡市のことをご紹介したいと思います。
 
“1971年に日本の空からコウノトリの姿が消えました。
最後の生息地であった豊岡市から、コウノトリをもう一度大空に羽ばたかせる事業が進められています。
2005年から野生復帰に向けた試験放鳥が行われ、2007年には野外での繁殖が成功しました。
今では、豊岡盆地の田んぼや湿地でコウノトリと出会うことができます。“
 
これは豊岡市立コウノトリ文化館のHPに掲載されている言葉です。

豊岡市立コウノトリ文化館 | 人と自然の共生を考えるエコミュージアム人と自然の共生を考えるエコミュージアムkounotoribunkakan.com

コウノトリは国の特別天然記念物(1956年指定)で、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧IA類(CR)という、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いものに指定されています。
 
兵庫県芦屋市で育った私は、小学校の時に学校で豊岡町(2005年に合併して豊岡市へ)のことを学習しましたが、コウノトリのことを学んだ記憶がありません。
しかし、今は豊岡市と言えばコウノトリと鞄のイメージになっています。
それがなぜなのか、2月に元豊岡市長の中貝さんの講演を聴く機会がありよく分かりました。
 
詳しくは下記の本を読んでいただきたいのですが、講演の中で特に印象に残ったことを2つ紹介したいと思います。

なぜ豊岡は世界に注目されるのか/中貝 宗治 | 集英社 ― SHUEISHA ―兵庫県豊岡市は、市内にある城崎温泉が「ロンリープラネット」のベスト温泉タウンナンバー1に選ばれ、インバウンドが急増。豊岡演www.shueisha.co.jp

ひとつめは、「も」の発見です。
豊岡市では、「コウノトリ育む農法」で育てた「コウノトリ育むお米」が販売されています。

「コウノトリ育むお米」の紹介豊岡市公式ウェブサイトwww.city.toyooka.lg.jp

この「コウノトリ育む農法」にも、「コウノトリ育むお米」にも助詞がありません。意図的に助詞を省いているそうです。
 
つい、「コウノトリ“を”育む農法」としたくなりますが、コウノトリだけではなく、コウノトリの餌となる生物も、人もみんなが豊かに暮らせることを目指して「コウノトリ“も”育む農法」をされているそうです。
「コウノトリ“を”育む農法」とすると、「人とコウノトリのどちらが大事なんだ!」と思ってしまう人も出てきそうですが、「コウノトリ“も”育む農法」はどちらも大切にしていることが伝わってきます。
この“も”を発見したことが、コウノトリ“も” 住めるまちになるために重要だったそうです。
助詞の使い方一つで、人々に与えるイメージが大きく変わることを学びました。
 
ふたつめは、ジェンダーギャップについてです。
若い人、特に女性が都心に集中しているという話はニュースでよく報道されているので聞いたことがある方も多いと思います。
若い女性が都心に集中するという事は、地方の子供を増やす要素が減っていっているという事でもあります。
なぜ減っていっているのか、その理由がジェンダーギャップ、つまり社会的・文化的に築き上げられた男女格差なのです。
 
社会の様々な場所で女性が活躍をしており、就業者に占める女性の割合は45.5%に達していますが、管理的な仕事に就いている女性の割合は16.3%と低く(2024年現在)、補助的な仕事に就いている人が多いのも実情です。
学校では、男女平等で評価してもらえたのに、いざ社会に出ると、“女性だから”という理由で補助的な仕事しかできないと分かると、もっと自分のやりたいことができる場所、フェアに評価してもらえる場所に行くのは当然です。
これを変えるにはこれまでの当たり前を疑い、意識を変えていく必要があります。
参考)男女共同参画白書 令和7年版

1-15図 諸外国の就業者及び管理的職業従事者に占める女性の割合 | 内閣府男女共同参画局www.gender.go.jp

一方で、このジェンダーギャップを解消すべく、行政の委員会や大学教員などに優先的に女性を登用しようという動きも激しくなってきています。
私も、両手・両足の指をすべて使っても数えきれないくらいの外部の仕事を抱えています。
これについても、「男性“も”女性“も”活躍しやすいフェアな社会」を目指すべきだと思います。
 
豊岡市役所では、同じ期間働いていたとしても、男性に比べ女性は経験している仕事の種類が少ないことを確認し、それを変えるため2019年に「ワークイノベーション戦略」を策定したそうです。その策定には民間主導で「ワークイノベーション推進会議」が設立され、ジャンダーギャップが社会的・経済的損失をもたらしているという経営問題としてその対策を進めることになったそうです。
その結果、市役所だけでなく、市内の89以上の事業所がこの会議に参加し(2023年現在)、“女性だから”ではなく、“適任だから”という理由で管理的立場になる女性が増えてきており、メディア等でも取り上げられるようになっているそうです。
 
私も以前、「女性だからではなく、あなたが優れているから選ばれているのだよ」と言ってもらった時に、とても嬉しくて涙がこぼれて、私は“女性だから”選ばれているのではないかというモヤモヤを抱えていたことに気付いたことを思い出しました。
 
豊岡市は、コウノトリ“も”住める街、男性“も”女性“も”活躍しやすい社会を目指したことで、経済的にも文化的にも発展し、街の魅力が増し「小さな世界都市」に発展しました。これから地方が目指すべき道の一つを示してくれていると思います。

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