リヤドで出会ったもの、感じたこと(2)ラクダ肉を食べてみた by 原裕太(GEN世話人、東北大学助教)

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 半年ほど時間が空いてしまいましたが、サウジアラビア・リヤド訪問記の第3弾として、現地で出会ったラクダ肉の料理をご紹介します。
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リヤドで出会ったのは、ヒトコブラクダの肉を使った料理です。日本ではなじみの薄いラクダ肉ですが、コレステロールが低く、脂肪が少なく、鉄分が多いなどの利点があり、栄養価も高いといわれ、アラブやアフリカの乾燥地で食されてきました(Boukrouh et al., 2025)。

ラクダ料理を頂いたのはリヤド市街にあるナジド地方(リヤドを含むアラビア半島内陸部)の伝統料理店「Najd Village」。リヤド滞在の最終日に訪れました。写真1は店の概観です。左右に2つ入口があり、以前のリヤド・メトロでご紹介したのと同様、食事空間もシングルとファミリーに分かれていました。シングルの入口を通ると、写真2のような景色が広がります。雰囲気は抜群、内も外も「ナジド様式」と呼ばれる日干しレンガの伝統建築を模して造られています。写真2の左側は待合スペースで、呼ばれるまで靴を脱いで待ちます。そして通されたのが写真3のスペース。こちらも絨毯が敷いてあり、靴を脱いで座って食事をします。

メニューはアラビア語と英語で、QRコードを介してWebサイトでも見ることができました。文末にリンクをつけましたので、ご興味があればご覧ください。伝統的な料理が並ぶ中、私はすぐにラクダ料理を見つけることができませんでした。それもそのはず、ラクダを表す英単語「Camel」が英語メニューに使われていなかったのです。店員さんと話してようやくわかったことは、「Hashi」がアラビア語でラクダ肉のことだったということです。日本でいえば、「Maguro」と書かれていて「Tuna」だと気づかなかったような状況でしょう。「Hashi」はとくに2歳未満の子ラクダの肉のようです。

頼んだ料理は「Hashi Badya」。Badyaとは、ヒツジやラクダ、鶏などの肉を、穀類(米、ジャリーシュと呼ばれる挽いた小麦の料理、パンなど)と重ねて食べる、ナジド地方の伝統料理です。長粒種の米の上に大きなブロック状のラクダ肉が4つほど(写真4)。さっそく食べてみると、臭みがなく、大きな見た目とは対照的にホロホロとして大変柔らかく、食べやすいお肉でした。メニュー表にはラム肉のBadyaもありました。

さて、ヒトコブラクダはどのような時に食べられてきたのでしょうか。書籍『砂漠誌』では、北アフリカ・スーダンの事例として、ヒトコブラクダを屠殺する機会は本来限定的で、年老いたり、病気になったり、あるいは宗教的行事(断食月あけの祭など)に限られてきたと書かれています(縄田,2014)。特別な肉で精がつく、日本でいえばウナギのような位置づけでしょうか。その理由は、ヒトコブラクダは運搬、製粉、ミルク、毛皮(衣類や縄)、糞(燃料)など用途が多様で、寿命も長く、高値で取引される、価値の高い家畜であることが挙げられます。

 一方、国際的な肉用ラクダの市場規模は16億米ドル(約2500億円)に上り、アジアやアフリカを中心に世界で約300万頭が飼育され(2021年)、飼育頭数は増加傾向にあるのも事実です(図1)。この頭数増加を牽引しているのが実はサウジアラビアで、2023年には約50万頭の肉用ラクダが飼育され、スーダンを抜いて世界一位でした。同国では商業的で集約的なラクダの畜産が進んでいます。

気候変動緩和策の観点からみると、ラクダとウシに同じ飼育環境で同様の飼料を与えた場合、ラクダのメタン排出量はウシの3分の1程度だった(Boukrouh et al., 2025)、体重あたりのメタン排出量は他の反芻動物に比べて半分以下だった(Dittmann et al., 2014)、といった研究結果が示されています。また、砂漠化対処条約COP16の会場では、紅海沿岸のマングローブ林の生育が、ラクダの採食によって抑制されているとして、マングローブ林でのラクダの放牧圧を適切に管理する必要性が展示されていました(写真5)。

日本ではなかなか出会う機会がないヒトコブラクダ、そしてラクダ肉ですが、この機会に注目してみてはいかがでしょうか。

参考文献
縄田浩志 (2014) 4.6 ヒトコブラクダとの多面的なかかわり.縄田浩志・篠田謙一編『砂漠誌――人間・動物・植物が水を分かち合う知恵(国立科学博物館叢書15)』pp.261-275. 東海大学出版部.
Boukrouh S, Alia OAE, Faye B (2025) Worldwide camel meat and products: An extensive analysis of production, consumption patterns, market evolution, and supply chain effectiveness. Meat Science, 228: 109882, https://doi.org/10.1016/j.meatsci.2025.109882
Dittmann MT, Runge U, Lang RA, Moser D, Galeffi C, et al. (2014) Methane Emission by Camelids. PLOS ONE, 9(4): e94363. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0094363

レストラン「Najd Village」のメニュー https://najdvillage.com/menu/?lang=en

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