エネルギーと自然環境 by 小倉亜紗美(GEN世話人、呉工業高等専門学校准教授)

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エネルギー政策の基本はS+3Eです。ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)によって、農業収入に加えて売電収入も得るという新しい農業の形も定着しつつあります。
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呉工業高等専門学校の小倉亜紗美です。
今日は最近急激に情勢が変化している“​エネルギーと自然環境”について考えてみたいと思います。
 
エネルギーは私たちの社会を支える重要なものです。
2026年2月28日に始まったアメリカとイスラエルによるイラン攻撃を機にしたホルムズ海峡の封鎖で、原油価格が高騰していることを心配されている方も多いと思います。
 
戦争だけでなく、東日本大震災という自然災害がきっかけで起きた東京電力福島第一原子力発電所事故も日本社会に大きな影響を及ぼしました。
この事故を踏まえ、エネルギー政策の基本であった自給率(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)に、安全性(Safety)を大前提とすることが加わり、S+3Eを同時に達成することが基本的な視点とされています(第7次エネルギー基本計画https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/)。

急速に普及が進むAIや建設が進められているリニア中央新幹線も大量の電力を使用します。
この電力需要を賄うためにも、いかに電力を確保し、供給していくか。その際に地球温暖化をこれ以上進めないようにし、もちろん生物多様性も脅かさないという「環境適合性」を満たしていくかが、これまでにまして重要になってきています。
 
1月に「陽なたのファーマーズ フクシマと希望」という映画を観ました。

陽なたのファーマーズ フクシマと...
映画公式|│陽なたのファーマーズ フクシマと希望 ドキュメンタリー映画『陽なたのファーマーズ フクシマと希望』公式サイトです。

この映画の舞台は、福島県二本松市のソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)をしている農地と、そこに関わる人たちです。ソーラーシェアリングは、山や畑を潰して太陽光パネルを設置するのではなく、地面から2~3 mほどの高い位置、または垂直に太陽光パネルを設置し、発電をしてその売電収入も得ながら、その下で育てた穀物、野菜、果物、そして草を食べて育った牛などを売り、農業収入も得るという、日本発祥だけど、既に日本以外の国で多く広まっている新しい農業の形です。
 
二本松市では福島第一原子力発電所事故の後、放射線の影響で作った米を捨てなければいけない日々が続きました。今は放射線量を測り、基準をクリアした農作物を販売できるようになりました。
映画に出てきた二本松営農ソーラー株式会社の近藤さんが、「原発事故で苦しめられたから、農地で電気を作ることに意味がある」というようなことを言われていたのがとても印象的でした。
そして、映画に出てくる農家の方が、太陽光の売電収入があるから新しい作物に挑戦できると言われていたのも印象的でした。ほのぼのとしたシーンが多いのにエネルギーと自然の関係について深く考えられる映画だと思いました。
 
福島県ではないのですが、ソーラーシェアリングをされている広島県東広島市のわくわくソーラーシェアリングファームに見学に行ったことがあります。

ここを運営されている元フィナンシャルプランナーの重家さんによると、ソーラーパネルの柱を3 m以上の高さにすることで、トラクターも通れるし、夏の暑すぎる日差しを避けることができ、さらに売電収入に加え野菜の売上があるので、生産性も非常に高いそうです。私が見学したときも、パネルの下で水耕栽培のミニトマトが鈴なりに生っていて、その下に大きな椎茸が生えたホダ木が置いてあり、空間の縦の活用の上手さにとても驚きました。

2016年に電力小売全面自由化、2020年に一般送配電事業の法的分離が行われ、私たちは電力を選んで買うこともできるようになりました。そして2026年3月には次世代型の太陽電池として注目を集めているペロブスカイト太陽電池の販売も始まりました。
このように、エネルギーの作り方、使い方、選び方が目まぐるしく変わっています。
自分の想いや生活にあったエネルギーを選んでいきたいと思います。
 
最後にその役に立つかもしれない本を紹介させて下さい(私も19章を執筆しました)。
日本環境学会有志(2026)『次世代とつくる自然共生・資源循環社会 ~21の実践~』,大学教育出版.

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