雑草愛 タンポポと間違われているかもしれない植物ブタナ(タンポポモドキ)について by 前中久行(GEN代表)

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 ブタナは別名タンポポモドキといわれるように外見と生態はセイヨウタンポポに似ていますが、花茎が30 cm以上に伸びて分枝し、複数の頭花をつける点で区別できます。厳冬期を除き、年間(秋末まで)咲き続けます。ヨーロッパ原産の帰化植物で、日本全国の草地や道路ののり面などに広く分布しますが、ブタナは変わったタンポポと間違われているかもしれません。散歩道の観察において、大花(2 cm)と小花(1 cm)の群生地が存在し、小花は別種の「ヒメブタナ」である可能性を含め、現在観察中です。ブタナ群落の造成と管理についても研究報告により紹介します。
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 私の散歩道に沿った住宅地内の空き地や道路の縁でこの時期は黄色の花が目立ちます。セイヨウタンポポとブタナです。セイヨウタンポポの最盛期はそろそろ終わりですが、以後もほぼ年間を通じてポツポツと咲き続けます。タンポポそっくりの花で秋末まで咲き続けるのがブタナ(Hypochaeris radicata L.)です。ブタナは別名をタンポポモドキともいわれ花はタンポポとそっくりです(写真1)。草の姿で見分けることができます。タンポポは一本の花茎に一つの頭花です。ブタナは一本一本の花茎が30 cm以上に長く伸び分枝して複数の頭花をつけます。ブタナは厳冬期を除いて咲き続けます。適度に草刈りされた草地では、草の緑を背景にしたブタナの花の群生地が各地にあります。とくに高速道路ののり面に目立ちます。

 ブタナはヨーロッパ原産で1930 年代に日本へ入ってきた帰化植物です。北海道から九州まで広く生育しています。公園の草地やのり面で目立ちます。中国大陸では雲南省昆明で2009年に標本が採集されています。私は中国ではブタナをみたことがありません。ちなみにブタナの中国名は假蒲公英猫儿菊(にせたんぽぽねこのきく)です。イギリスやアメリカではCatsearです。ドイツではGewöhnliches Ferkelkraut(普通の子豚の草)、フランスではSalade de porc(豚のサラダ)です。和名ブタナの命名者は北村四郎先生でフランス語にちなんだという。
 
 ブタナの花は午前中開いていて午後には閉じます。一つの頭花の寿命は確認していませんが、一日花ではありません。
 散歩道横のブタナの群生地を覗いてみると花サイズ大(2 cm)と小(1 cm)があります。大花か小花かのいずれかで、中間サイズの花は未発見です。大花の群生地は規模がおおきく、小花の群生地は小規模なものが各所にあります。大花と小花が隣接しているところもあります(写真2)。根元を探ってみると別個体が同居しているようです。一つの個体で大花と小花両方をつけた株はまだみつけていません。両者の間には交雑を避けるなんらかの作用があると思われます。ブタナとは別種にヒメブタナ(Hypochaeris glabra L.)があります。小花の系統はヒメブタナの可能性があるので観察を続けます。

 草地を適切に管理するためには、草地を構成する植物の性質を知っておくことが大切です。30年以上も前になりますがブタナの草地の造成と管理についての研究に参加しました。近藤哲也氏の詳細な研究報告があり私も共著者です。その概要を紹介します。実験地は福井市です。
 
ブタナの種蒔き時期とその後の成長開花
 4月中旬または6月中旬に種蒔きすると、10日目には発芽しました。開花は4月中旬蒔きでは7月中旬から、6月中旬蒔きでは8月下旬から開花が始まり、結実と平行しながら12月中旬まで開花が続きました。
 8月蒔きでは発芽は遅れて20日目となり、その年は開花せず冬季にも雪の中で根出葉を維持して翌年に開花しました。
 10月蒔きでは10日後に多数発芽しましたが、激霜害を受けて大多数が枯死し、翌年の4月までの生存個体はわずか3個体でした。それらの個体も5月には開花しました。
 
刈り取り時期・回数と群落の景観
 群落を美しく維持するための刈り取り方法を知るために、苗植栽後二年目のブタナ群落を種々の時期や回数で刈り取って生育・開花への影響を調査しました。
 実験結果からは年三回、6・8・10月初旬に刈り取ることで、株のおおきさを適度に抑制できて、枯れた花茎も除去できるため、観賞期間を秋まで延長できます。
 刈り取り回数を少なくすることが要求される場合や、株のおおきさを抑制する必要が無い場合には、8月と11月の年二回の刈り取りでも開花景観は維持できます。
 ブタナは毎月一~二回の刈り取りを行っても生存可能であったため、芝生地に導入して同じ刈り取り管理により芝生とブタナの両方の観賞価値を得ることもできます。
 
 ブタナが生育している草地をより適正に管理するためにも役立つ情報と考えています。興味のある方は以下を参照ください。
 
近藤哲也・前中久行・野田敏秀・高橋理喜男、播種によるブタナ群落の形成とその管理、造園雑誌 56(1):15-27, 1992

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