モンゴリナラとリョウトウナラ by 高見邦雄(GEN副代表)

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 ヘルメットのおかげで命びろい! 南天門自然植物園でもっとも期待したいのは数種類のナラです。モンゴリナラは樹高30m、直径60㎝にもなるそう。その大森林を想像するだけで楽しくなります。確実なシードソースを確保できました。
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 13日の金曜日、昆陽池の近くを自転車で走っていて、路側の小さな段差にタイヤをとられ、投げ出されました。運良く歩道に。落ちるとき力が脱けていたんでしょうね、痛いのは手のひらだけで、ほかにはありません。ヘルメットをみて驚きました。かなり深い傷があります。かぶっていなかったら、大ケガでしょう。よく似た経験を友人からきいて、5年前から自転車に乗るときは必ずヘルメット。それがよかった!
 
 さて本題です。大同市霊丘県の南天門自然植物園でもっとも期待しているのはナラの仲間です。この地方の海抜1000~1500mあたりの極相林を形成する樹種だと思うのです。リョウトウナラ(遼東櫟、Quercus liaotungensis Koidz.)だろうと、地元のメンバーも私も思い込んでいました。
 
 よく似た樹種にモンゴリナラ(蒙櫟、Quercus mongolica Fisch.)があり、分布範囲に入っているので、なんとか入手したいと思っていました。図鑑によると、リョウトウナラの樹高が5~10mであるのに対し、モンゴリナラは30m、直径も60cmに達するのです。
 
 李向東さん、周金さんなどを誘って、2004年9月、河北省涞水県の野三坡自然保護区を訪ねました。ここに憧れのモンゴリナラがありました。学名を添えて、名札が表示されています。簡単な見分け方は、リョウトウナラは葉脈が7~5対、モンゴリナラは7~11対とのことです。南天門自然植物園では7対のものが多く、見分けは難しいのですが、ここのものは8対以上でした。たくさん種子が落ちていたので、発根しかけも含め、集めて持ち帰りました。

 それを育てた周金さんの印象は、リョウトウナラに比べ生育が速いようだというのです。樹形もかなり違います。リョウトウナラが小さいとき枝を横に広げて、なかなか上に伸びないのに対し、モンゴリナラはスラーッと上に伸びて、樹形がいいのです。そしてリョウトウナラが早くから種を着けるのに対し、モンゴリナラはかなり大きくならないと着けません。でも、あれあれ、これと同じものが、南天門にも自生してるじゃないの。モンゴリナラと判定されたものが1本出てくると、不思議なもので、いくらでも見つかるんですね。

 南天門自然植物園の日陰斜面(陰坡)と日向斜面(陽坡)にそれぞれ20×20mの調査区を設け、胸高直径と樹高の測定を続けていました。その日陰斜面の調査区に、胸高直径4.5cm以上の樹木が71本あり、うちナラが59本で、その内訳は、モンゴリナラ28本、リョウトウナラ25本、カシワ(柞櫟、Quercus dentata Thunb.)が5本、不明1本でした。数からいってもモンゴリナラのほうが多いのです。ナラ以外の樹木はマンシュウボダイジュ(シナノキ)、シラカンバ、アブラマツでした。

 この2種類のナラについての日本の専門家の調査がつづき、見分け方の基準を検討したんですけど、葉の形と大きさ、葉脈の数、種子と殻斗の形状など、どの指標をとっても連続的に変化しており、2種に分けることはできず、交雑でもない、モンゴリナラという1種のなかの2つのタイプではないかということになったのです。それは最近の中国の研究とも一致するよう。分類の世界はいま大波にさらされていますので、まだわかりませんけど。
 
 そのうちに李向東さんたちはさらに上の場所でナラガシワ(槲櫟、Quercus aliena Bl.)を見つけてきました。これでナラは3種(4系統)になりました。
 
 南天門自然植物園はいま地元の霊丘県上寨鎮政府によって管理されています。ここにナラを主体にした本格的な森林が成立し、確実なシードソースとなる日も近いでしょう。それを想像するだけで楽しくなります。

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